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  (3/30) 2005―2006年秋冬パリ・コレクション解説 「セリーヌ(Celine)」

 ロベルト・メニケッティ(Roberto Menichetti)氏は2度めの「セリーヌ(Celine)」で、無理めのカラーマッチングに挑戦しました。紫、オレンジ、エメラルドグリーンなど、我の強い色を強引に重ね合わせてパンチの利いたパレットに仕上げていました。

 スタートから無理めのカラーマッチングをぶつけてきました。ジャケットこそ黒ですが、インナーはフーシャ・ピンクで、七分の袖先は紫、パンツはエメラルドグリーンで、クラッチバッグはスカイブルー。一歩間違えば、支離滅裂になりそうな危ういカラーバランスをきわどく成立させています。

 その後も、紫のファー・マフラーに、シャーベットグリーンのインナー、オレンジのスカートという組み合わせを提案。全体に落ち着いた色使いが主流となった今シーズンのパリ・コレクションでは際立った派手な「色仕掛け」を演じてみせました。

 フェイバリットカラーは紫だったようです。紫のファーコートにはグリーンのベルトを合わせています。紫のジャケットにはオレンジの膝丈スカート。オレンジのダブルのコートは襟だけが紫のファーでした。バッグと靴も紫が多用されています。エメラルドグリーンもコートやスカートに何度も使われていました。

 カッティングの巧みさは相変わらず。黒の膝丈ドレスは左足の付け根辺りから弧を描いて右の太ももにかけてスリットが入っています。胸の切れ込みは深めで、女性の丸みをアピールする演出です。

 大きな襟が目立った今回のパリ、ミラノでしたが、メニケッティ氏は紫のジャケットでは細襟を提案。鋭角的なカッティングででマニッシュなフォルムを構成していました。

 オレンジは細いベルトやバッグでアクセントカラーになっています。光沢ある生地のノースリーブドレスは大胆に背中の中央部を露出しています。

 強い色を使うだけではなく、重ね合わせることによって、不思議な調和を生み出しているのが、今回の「セリーヌ」のポイントです。スカートの色と合わせたカラーストッキングも目を引きました。

 色のほかに、フォルムの面でも新しいアプローチがありました。オフホワイトの襟なしコートは共布のベルトで軽く結んで留めるバスローブ風です。深い緑のパンツはオーバーサイズ。脚を動かすたびにダブダブの薄い生地が波打つ感じです。爪先が見えないほどの超ロングサイズになっています。

 フォルムは全体に細身。エレガントでシックなテイストでまとめ上げています。

 「セリーヌ」はフランスのブランド企業、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンの傘下。2005年春夏からレディースの主任デザイナーに米国生まれのイタリア人、メニケッティ氏を起用しました。7年間にわたってデザイナーを務めた、米国人のマイケル・コース氏の後を引き継いだメニケッティ氏は自分の名前を冠したブランド「ロベルト・メニケッティ」も手がけています。

 コース氏のクラシック路線からがらりと変わり、2005年春夏でメニケッティ氏はカラフルでポップなスタイルを提案。アイテムでもミニドレスを前面に押し出し、「セリーヌ」を若返らせました。

 メニケッティ氏は米国のバッファロー生まれました。ドイツのブランド「ジル・サンダー」を経て1998年から英国の老舗ブランド「バーバリー」に移籍。「バーバリー」のイメージをフレッシュに変身させた実績があります。「バーバリー・プローサム・コレクション」には立ち上げから関わりました。2005年秋冬ニューヨーク・コレクションで自らの「ロベルト・メニケッティ」ブランドをデビューさせています。

 「セリーヌ」は1945年、パリで子供靴専門店として創業しました。創業者のセリーヌ・ビピアナ氏夫妻は子供靴から大人向けの靴、バッグをはじめとする革小物にも手を広げていきます。60年代にプレタポルテ(高級既製服)をスタートさせました。

 90年代には停滞期を迎えます。しかし、96年にLVMH傘下に入り、コース氏を98―99年秋冬からデザイナーに迎えたところから、「新生セリーヌ」として勢いを増していきました。

 凱旋門にかかる鎖をモチーフとした「ブラゾン」、二輪馬車をかたどったマークがシンボルマークです。2003年春からはパリの街並みを意識した「パリ マカダム」シリーズを発売。「ブラゾン」を織り込んだデニム素材の商品群です。2004年には出し入れしやすく、小ぶりのトートバッグのような「ブギーバッグ」がヒットしました。

 日本ではLVJ(ルイ・ヴィトン・ジャパン)グループ、セリーヌ・ジャパン・カンパニーが輸入販売しています。2005年4月、東京・銀座の並木通り沿いに路面店「セリーヌ銀座ブティック」を開きます。

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