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  (3/24) 2005―2006年秋冬パリ・コレクション解説 「ベルンハルト・ウイルヘルム(Bernhard Willhelm)」

 「ベルンハルト・ウィルヘルム(Bernhard Willhelm)」はアシンメトリー(非対称)のドレスや、奇抜なリボン、テープ使いで動きに富んだデザインを提案しています。置き時計モチーフのプリントが目を引きます。

 1枚の布をふんわりとまとったような白のチュニックドレスには、共布の白いマント。バスト下から腰にかけては大きなゴールドの置き時計のプリントをあしらっています。この置き時計モチーフはよほど気に入っているようで、ほかの作品にも形やサイズを変えて繰り返し登場しました。フード付きドレスには、形の異なる置き時計のプリントを2個、上下に並べました。

 靴では編み上げのスニーカー風シューズが何度も現れました。ベージュのキャンバス地に白いシューレースが新鮮。くるぶし丈のショートモデルもありました。

 ベルベットのマスタードカラー・スカートを、腰に回したひもで吊るアイデアはかなり腰から下がったスカートがセクシー。

 パジャマ風のゆるゆるのドレスは身体の正面、太もも当たりを結わえて、膝下をのぞかせるデザイン。結び目の周りに生まれたギャザーが表情を作っています。

 多くのモデルにレモンイエローのプラスチック枠のサングラスをかけさせ、リゾート気分を醸し出しています。

 前身頃の裾はミニ丈なのに、後ろは膝丈という前後で長さがアシンメトリーの総柄ドレスは、共布ジャケットとセットにしました。正面から見ると、後ろ身頃の白い裏地が見え、ちょっとセクシー。片方の膝からすねにかけてターコイズブルーの布を巻き付け、視線を引き付けています。ターコイズブルーはドレスのベースカラーにも、スカートにも何度も使われていました。

 アシンメトリーの演出は様々なアイテムに見られました。右側の前身頃にだけ全体にリボンテープで起伏を付け、左胸には別布の切り替えをあしらった左右アシンメトリーのブラックドレスもありました。

 アニマルモチーフは今回の一つのポイントでした。全身ヒョウ柄の大襟付き五分袖ジャケットは迫力十分。ヒョウ柄の下地が透けて見える、膝丈のブラックドレスや、ヒョウ柄をキャップのトップやフード付きブルゾンのフード周りに配したスポーティーなアイテムも披露。頭部から鎖骨辺りまで、顔以外をすっぽり包むヒョウ柄のチャドル風フードも投入しました。

 お得意のフェースペインティングは今回も健在。ヒョウ柄のような細かい斑紋を描いたモデルが大勢登場しました。

 グレーの膝丈スカートは4段のティアード。厚手の布地にゴツゴツした出っ張りのドレープをこしらえ、岩石を腰下に貼り付けたような野性味ある起伏を持たせています。

 プリントに強みを持つブランドらしく、今回のコレクションでもプリント殻が豊富です。人の顔写真をモノクロで全体にぎっしりプリントした生地はスカートにもドレスにも使っています。ジャンニ・ヴェルサーチ氏が好んだ、中華どんぶりの雷紋のようなモチーフも繰り返し現れました。

 デザイナーのベルンハルト・ウィルヘルム(Bernhard Willhelm)氏は」1972年、ドイツ南部のウルム(Ulm)で生まれました。ファッションの名門校、アントワープ王立芸術学院(the Royal Academy of Fine Arts in Antwerp)を98年、卒業しています。ファッション科の首席だったそうです。

 ワルター・ヴァン・ベイレンドンク(Walter van Beirendonck)、アレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)、ヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)、ダーク・ビッケンバーグ(Dirk Bikkembergs)らの下でインターンを務めた後、卒業から間もない99年春夏パリ・コレクションでプレタポルテ(高級既製服)デビュー。セカンドライン「ジャーマニー(Germany)」も展開しています。

 イタリアのオートクチュールデザイナーであるロベルト・カプッチ氏のプレタポルテライン「カプッチ(Capucci)」の主任デザイナーを2003年秋冬から任されています。

 ウィルヘルム氏の作風にはアイロニカル(皮肉)なテイストが感じられます。童話や動物をモチーフにしながら、かわいらしさと不気味さが背中合わせになっているような感覚を表現してきました。遊び心に富んだ絵柄と、その裏側に隠されたダークな意図とのアンバランスさが持ち味になっています。

 2004―2005年秋冬ではベルトをプリントしたトロンプ・ルイユ(だまし絵)のブラックドレスや、ミッキーマウスのような巨大な耳当てが付いた、全身をくるむようなワンピースをランウェイに送り出しました。2002―2003年秋冬ではポップな色使いのユーモラスな恐竜モチーフのプリントを打ち出し、話題を呼びました。日本の旭日旗をモチーフにしたような作品や、レインボーカラーの菱形を並べたピエロ風ドレスも目を引きました。現在はパリにアトリエを構えています。

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