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  (3/11) 2005―2006年秋冬ミラノ・コレクション解説 「マルニ(Marni)」

 「マルニ(Marni)」のテーマは「結ぶ」。ベルトやひも、リボンを使って、「結ぶ」遊びをたくさん提案していました。アフリカンテイストの大ぶりの玉や円盤をつなげたネックレスも素敵です。

 幅15センチ程の黒い布帯でたすきや腹帯のように、トップスの上から締め付けては結び目を作る「人間プレゼント包装」のような仕掛けは、これまでの「マルニ」とは一味違うコンセプチュアル(哲学的)な趣(おもむき)です。布ベルトで前を緩く留めるガウン風のジャケットをプッシュ。リボンを付けたスカートでは、結び目の先に余らせた帯が揺れて表情を出しています。

 花プリントややわらかい配色で知られる「マルニ」ですが、今回はさらに一段と落ち着いた色使い。茶系が最も頻繁に登場し、グレーや黒も多用されています。全体のトーンを支配していたのが、くすんだ緑や沈んだ青のストッキング。ふくらはぎ丈のストッキングはどれもかげりを帯びています。2005年春夏でマスタードカラーやビビッドグリーンなど、明るい色を持ち込んだのとはうって変わって、「ダークサイド」の引力がぐんと強まっています。

 今回の「マルニ」でバイヤー心を最もくすぐったのはアクセサリーでしょう。ファッションデザイナーに「アクセサリーが一番よかった」と言うのは、まるでウエアがだめだったかのように聞こえるかもしれませんが、決してそうではなく、アクセサリーがよすぎたのです。

 キーアイテムになっていたのはロングネックレス。へその辺りまで垂れ下がったネックレスが何度も登場しました。

 アフリカンテイストの大玉ごろごろのネックレスが主役です。きれいな石ころや円盤状の飾り、木ぎれを布でくるんだような塊(かたまり)。見た目も寸法も異なるマテリアルが首の周りで原始的なダンスを踊っているようです。直径10センチ程の黒い石にただ穴を開けてつなげたような、素朴なネックレスは、着けている人をエレガントに見せる不思議な黒魔術にかかっています。

 柄の面では、褐色や青、緑、茶の布地に白く染め残したタイ・ダイ(tie dye、 絞り染め)調のプリントが繰り返し登場しました。エスニック風の「プリント・オン・プリント」の提案にも使われています。このプリントがよほど気に入ったのか、ご本人もショーの最後に、茶と白のタイダイ風トップスに、ごろごろネックレス、モスグリーンのふくらはぎ丈ソックスで登場しました。

 全体を通して見れば、近年、パリやミラノでメーンストリームとなっている「リアルクローズ(実際に着られる服)」の流れに乗っていたと言えるでしょう。でも、「落としどころ」を計算しすぎてつまらなくなってしまうようなミスは犯していません。むしろ、早くから本当の意味での「リアルクローズ」を提案してきたコンスエロ・カスティリオーニ(Consuelo Castiglioni)氏ならではの自負と余裕を感じさせるコレクションでした。

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