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  (2/25) 2005―2006年秋冬ミラノ・コレクション速報 「グッチ(GUCCI)」

 「グッチ(GUCCI)」のアレッサンドラ・ファッキネッティ(Alessandra Facchinetti)氏は2シーズン目で自分の色を出し始めたようです。前任者、トム・フォード(Tom Ford)氏からの様変わりを感じさせるコレクションとなりました。

 「グッチ」お得意の黒のほかに、今回、ベースカラーになっていたのは深い青。ミッドナイトブルー、コバルトブルー、インクブルー、ネイビーブルー、ブルーブラックなど、ディープな色合いを駆使していました。

 ショーは、ミッドナイトブルーのカシミア・ピーコートからスタート。いきなり今回の一押しカラーをぶつけてきました。花模様の同色エンブロイダリー(刺繍)をあしらい、控えめなラグジュアリー感を演出しています。

 カシミアやファーの厚ぼったいアウターに、薄手でフェミニンなインナーというコントラストが絶妙。ブルー系の濃淡と素材の厚みで奥行きを表現した、立体感のある見せ方です。「女性の二面性を表現したかった」と言うデザイナーの狙いは見事に視覚化されていました。

 色だけではなく、ボリューム面でも「押し引き」の対比が冴えています。腕が指先まで全く見えないほどたっぷり布地を余らせたショートジャケットに、肌にピッタリ張り付くような極細パンツという組み合わせは足を一段とスリムに見せています。

 ロシアへの傾斜は今シーズンのミラノ・コレクションの際立った特徴です。「グッチ」もロマノフ王朝を思わせる貴婦人ライクなテイストを強調しています。ナポレオンを思わせる襟高のジャケット、チュールたっぷりのエンパイアドレスなどがランウェイを彩りました。

 バッグや靴はクロコダイル革がメーンを張っていました。大きめのバッグを手持ちするスタイルを提案。クロコダイルのバッグは角張ったボックスタイプが目を引きました。紫に染めたミニタイプも。

 靴の主役はワニ革の膝丈乗馬ブーツ。黒、紫、ネイビーブルーなどのカラーバリエーションがあります。ベルトやバッグにはチェーンをあしらう工夫が見られました。

 ストリングス(ひも)使いは近年の流行の一つ。「グッチ」は襟元にボウタイ風のストリングスをアレンジしていました。高い襟にゴーグル風の大ぶりのサングラスは迫力大。

 肌が透けるブルー系レースはほのかな色気を漂わせていました。胸の前部を大きくさらしたデザインも見られ、フォード氏の時代とは異なる、上品なエロチシズムが香ります。

 ボトムスで目立ったのは、キラピカの光沢あるパンツ。黒やミッドナイトブルーのトップスとの組み合わせで、重たくなりがちな下半身に軽みを与えていました。

 「グッチ」の歴史は、創業者のグッチオ・グッチ氏が1923年、イタリアのフィレンツェに皮革品店を開いたときに始まります。グッチ氏は1881年フィレンツェ生まれ。ロンドンの名門ホテル「サヴォイ(Savoy)」でエレベーターボーイとして働き、ホテルを訪れる客からエレガンスを学び取り、フィレンツェに戻りました。

 フィレンツェ伝統の職人技術を生かした皮革製品で、「グッチ」は欧州の上流階級に支持されていきます。創業者のイニシャルに由来する「GG」のロゴマークや、竹材の持ち手が特徴の「バンブー・バッグ」、赤と緑のストライプなど、グッチを代表するデザインが生まれ、「グッチ」の顧客層は世界に広がっていきました。

 しかし、80年代に入ると、ライセンス製品の氾濫や経営者一族間の対立などから、ブランドイメージが低下。「グッチ」の経営状態は厳しくなっていきました。

 典型的な同族経営だった「グッチ」ですが、89年に中東・バーレーンの投資銀行、インベストコープが50%の株式を取得。再生に乗り出します。93年に全株式を取得したインベストコープは、米国人デザイナーのフォード氏を94年、クリエーティブディレクターに抜てき。さらに翌95年 ドメニコ・デ・ソーレ氏をグループの社長兼最高経営責任者(CEO)に迎え、「新生グッチ」がスタートしました。同じ95年には3代目当主だったマウリツィオ・グッチ元会長が前妻の雇ったプロの殺し屋に殺害されるという悲劇もありましたが、悲劇を乗り越えてこの後、「グッチ」はめざましい復活を遂げていきます。

 官能的でスタイリッシュなデザインを得意とするフォード氏の下、「グッチ」はラグジュアリーブランドとしてのイメージを確立。一方でソーレ氏が経営を近代化し、2人は「ドリーム・チーム」と呼ばれました。

 99年にフランスの巨大ブランド企業、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンが「グッチ」に買収を仕掛けた際、「グッチ」は徹底的に抵抗。LVMHのライバルで、百貨店「プランタン」で知られる、フランスの流通大手、ピノー・プランタン・ルドゥート(PPR)に出資を仰ぎ、PPR傘下に入りました。しかし、PPRの意向で「ドリーム・チーム」は相次いで「グッチ」を離脱。フォード氏は2004年、「グッチ」のデザイナーの座を後継者に譲りました。

 レディースを引き継いだのはファッキネッティ氏。メンズはジョン・レイ氏、アクセサリーはフリーダ・ジャンニーニが担当しています。2005年春夏から主任デザイナーに就いたファッキネッティ氏は、「プラダ」「ミュウミュウ」を経て2000年から「グッチ」に入社。フォード氏の下で成功を分かち合ってきました。

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