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  [ブランド名]
ディー・スクエアード(Dsquared2)

[解説]
 セレブリティーが休日に着るような、普段着でありながらゴージャスないわゆる「セレブカジュアル」の代表的ブランドです。ミラノコレクションに参加してわずか数シーズンで、ミラノで最も話題性あるショーといわれるようになり、今や次の「ドルチェ&ガッバーナ(Dolce&Gabbana)」になるのでは、ともっぱらの評判です。

 音楽界にファンが多く、歌手のマドンナはビデオクリップで「ディー・スクエアード」を着たほか、ワールドツアーでも彼らの作品を使いました。2000年のグラミー賞で最優秀新人賞に輝いた歌手のクリスティーナ・アギレラ(Christina Aguilera)も彼らのお得意様です。日本では歌手・浜崎あゆみが着ています。

 もともとメンズからスタートしています。男性ミュージシャンではレニー・クラビッツやジャステイン・ティンバーレイクらが顧客。日本でもSMAP・木村拓哉やサッカーの中田英寿が着ています。特に中田はファッション誌「VOGUE」でモデルとして「ディー・スクエアード」を着て、日本で人気に火が付くきっかけを作りました。

 カナダ出身の双子の兄弟、ディーン・カーティン(Dean Caten)氏とダン・カーティン(Dan Caten)氏がデザイナー。ブランド名の最後に2乗(英語で「squared」)が付いているのは、「Dの2乗(D×D)」という意味で、ファーストネームがどちらも「D」で始まることに由来しています。

 2003年秋冬ミラノコレクションで突然、初のレディースラインを発表して、ファッションジャーナリストを驚かせました。このとき、スーパーモデルのナオミ・キャンベルが「なぜ自分をコレクションに出さないのか」と自ら売り込んで、異例の安いギャラでモデルを務めたという伝説が残っています。

 「イタリアンモード」と「アメリカンスポーツ」をミックスしたのが、彼らの提案する新しいスタイルです。「自分たちが着ない服は作らない」「着た人をドレスアップしたいんじゃない。クールに見せたいんだ」と言い切る彼らの服はスポーティーでいながらセクシーな「リアルクローズ(実際に着られる服)」です。

 2004年春夏のテーマは1950年代の米国の「バッドガール」。Vゾーンを深くしたノースリーブのホワイト・コットンシャツや、股上15センチ足らずの超ローライズのデニムなどを提案しました。これまでも60年代の「古き良きアメリカ」をテーマにしたコレクションを展開。古着っぽいデザインは彼らの持ち味となっています。

 ポップなカートゥーン(漫画)プリントの多用にも彼らの米国への偏愛がうかがえます。セクシーでキッチュなキャラクター物のTシャツやデニムは日本でもヒットしました。自分たちをモデルにした「双子ちゃん」マークは毎シーズン、絵柄が変わります。アイスホッケーやメープルリーフ(サトウカエデの葉)、雪山など、母国カナダのモチーフもお馴染みです。

 陽気なカジュアルウエアを身上とする彼らのデザインは、時に大人っぽくなりがちなミラノファッションに新鮮なショックを与えました。ウィットが利いているのもポイント。ファー付きべースボールキャップは日本でも人気アイテムとなりました。

 フランスのビッグメゾン「セリーヌ(CELINE)」から、2004―2005年秋冬を最後にデザイナーのマイケル・コース(Michael Kors)氏が離れた際、一時、後任にカーティン兄弟の名前も取り沙汰されました。しかし、結局は「バーバリー(BURBERRY)」のデザインを担当したことのあるロベルト・メニケッティ(Roberto Menichetti)氏が起用されました。有名メゾンでカーティン兄弟がどんな型破りな服を作るのかにも興味はありますが、個人的にはもうしばらく今のまま、遊び心のある服を作り続けてほしいなぁと思います。

●ブランドデータ


[本国]
イタリア(ミラノ)

[経営・日本での展開]
 三崎商事が取り扱っている。同社のセレクトショップ「アティック(attic)」などで販売。伊勢丹新宿店の自主企画セレクトショップ「リ・スタイル(Re-Style)」でレディース商品が驚異的な売れ行きを記録し、独立した売り場に昇格した。

 三崎商事の取り扱いブランドは「ドルチェ&ガッバーナ」「D&G」「ジェニー」「ビブロス」「ゲラルディーニ」など。同社はミラノ発の有望ブランド「グエリエロ(GUERRIERO)」も独占輸入販売権を獲得。デザイナーのステファノ・グエリエロ(Stefano Guerriero)氏は「エンポリオ・アルマーニ」ブランドのメンズモデルだったという変わり種。

[歴史]
 ディーン・カーティン氏とダン・カーティン氏の双子の兄弟は1965年、カナダのトロントで生まれた。ともにカナダ国内で約6年間、デザイナーとしてのキャリアを積んだ後、91年、ミラノに渡り、94年にメンズブランドの「ディー・スクエアード」としてミラノコレクションに初参加。2003年秋冬からレディースラインを本格スタート。

 カーティン兄弟をバックアップしているのが、イタリアのカジュアルブランド企業「ディーゼル(Diesel)社」。同社は、レンツォ・ロッソ社長が78年に創業。ジーンズで成功を収め、80年代に急成長。「ディー・スクエアード」や「マルタン・マルジェラ(Martin Margiela)」の生産を担当してきたスタッフ・インターナショナル(Staff International.)社を2000年に傘下に収めた。ロッソ社長は2002年、「マルタン・マルジェラ」メゾンの筆頭株主にもなった。

 「ディー・スクエアード」はデニムが得意アイテムの一つで、生地を色落ちさせたり、デストロイド加工した「クラッシュド・デニム」は日本でも人気を呼んだ。ちなみに、こうしたデニムの生産・加工に関して、欧州のブランド関係者は「岡山県のデニムが最高」と口を揃える。欧州の有名ブランドでもデニム生地だけは岡山製というケースが多い。ジーンズメーカー大手のボブソンは岡山市に、ビッグジョンも岡山県倉敷市に本社があり、岡山県は日本一のデニム生産地だ。

 新品のデニムに手を加え、着古した風合いを持たせたヴィンテージ風ジーンズは、岡山のメーカーのお家芸だ。岡山県に主力工場を持つクラボウのデニムはジーンズの世界最大手、米リーバイ・ストラウス社から、日本メーカーとしては初めて「LEVI'S」用デニム生地に採用された。

 余談だが、「EDWIN」「LEE」「SOMETHING」などのデニムブランドを扱うメーカー、エドウインは東京都荒川区に本社を構える、れっきとした日本企業だ。社名の由来は「DENIM」のアナグラム(並べ替え)で、MとWを逆さまにしたものだという。旧社名の「江戸勝商店」から、「江戸が勝つ」→「江戸WIN」→「EDWIN」となったという別の説も有名だ。

[現在のデザイナー]
ディーン・カーティン氏とダン・カーティン氏


[キーワード]
「セレブカジュアル」、双子の兄弟、クール、「古き良きアメリカ」

[魅力、特徴]
 ひねりの利いた、インテリジェンスを感じさせる遊び着。セクシーでちょっと退廃的な雰囲気が漂う。日本では2004年からスタイリストの一押しブランドになり、雑誌での露出が急増。ストリート感覚のラグジュアリーブランドに成長した。

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