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  [ブランド名]
バレンシアガ(Balenciaga)

[解説]
 このところのトレンドセッターとして、コレクションの注目度がきわめて高い、モードなブランドです。立体的なカッティングのワンピースが素敵。70年を超える歴史を誇るプレステージブランドを、新鋭のニコラ・ゲスキエール(Nicolas Ghesquiere)氏が鮮やかに立て直してみせました。

 1998年に29歳でプレタポルテ(高級既製服)のデザイナーに就任したゲスキエール氏は「アニエスb」や「ジャン・ポール・ゴルチエ」「ティエリー・ミュグレー」のアシスタントを務めていたそうです。伝説的なデザイナーである創業者、クリストバトル・バレンシアガが打ち出したカッティングの美を受け継ぎながら、「1980年代風」ともいわれる現代的なアイデアを随所に施した、玄人好みのラインを打ち出し、ファッションジャーナリストから絶大な支持を集めています。

 冷たく無機質なテイストが前面に出てきたかと思うと、ロマンティックなセクシー路線が顔をのぞかせる。旬のデザイナーだけあって、コレクションごとにラインは大きく表情を変えます。太もも辺りにボリュームを持たせたバルーン(風船)スカートの復活には、創業者へのリスペクトも感じられました。ファッショニスタ以外にはちょっと難しいところもありますが、上級者への仲間入りのチャンスになるかも。

 頭まで隠れそうな高い立ち襟などの構築的なフォルム、遊び心のあるミニマリズムはニュースに満ちています。肩や脇などを大胆にカッティングし、シャープで細いシルエットをアピール。たとえ体型にちょっと難があっても、裁断でシルエットを美しく見せることができると証明してみせた創業者のポリシーはゲスキエール時代になっても変わりません。シンプリシティと高貴さを兼ね備えたデザインは早くも時代を代表する風格すら感じさせます。

 身にまとってみるとわかるのが、「あつらえたようにピッタリ」を実感させる仕立ての技。身体に布が添うようです。デザインから縫製までを一人でこなし、「奇跡のデザイナー」と呼ばれた創業者の技術は今も継承されています。

 色は「バレンシアガ」伝統の黒が主流。柄ものはあまり多くはなく、黒のほか、白、グレーなどモノトーン系が中心の展開です。ギリギリまで削り込んだ完成美が際立つカラーとなっています。

 勢いづく「バレンシアガ」は2004―2005年秋冬物から、さらに新たな試みを始めました。それが「新品のヴィンテージ」。1939〜60年代のオートクチュール(高級注文服)を再現するプレタポルテの新シリーズ「バレンシアガ・エディション」です。フランスのビッグメゾンが昔の作品を現代風にアレンジし直したコレクションを売り出すのは初めて。社内に残るデザイン画などを参考にしながら、ゲスキエール氏がまったく新しいアプローチで仕上げていくそうです。

 ヴィンテージブームにただ乗っかるのではなく、創業者と時空を超えて「勝負」しようというゲスキエール氏のビッグチャレンジ。そうした意気込みを反映してか、「バレンシアガ・エディション」のタグにはもともとの原作が発表された年を明記するとのこと。ヴィンテージファンならずとも、ほしくなります。

 今の「バレンシアガ」のラインは、フツーの服を着るのがイヤな人、大人っぽく、それでいてちょっとアバンギャルドな着こなしを楽しみたいという人に向いている気がします。

●ブランドデータ


[本国]
フランス(パリ)


[経営・日本での展開]
 バレンシアガ社(フランス)はグッチ・グループ傘下。グッチ・グループの親会社は世界第3位の高級ブランド企業、ピノー・プランタン・グループ。グッチ・グループはほかにも「イヴ・サンローラン」「アレキサンダー・マックィーン」「ステラ・マッカートニー」「ボッテガ・ヴェネタ」などのファッションブランドを保有している。

 68年にメゾンを閉じたバレンシアガ社は以後、長い眠りが続いた。一次はドイツの化学メーカーの傘下に入っていたが、86年にフランスのブランド企業、ジャック・ボガール社が買い取った。

 その後、突然、バレンシアガの歴史に日本企業が登場する。総合商社だった日商岩井はバブル崩壊にさしかかる91年、バレンシアガの発行済み株式の18%強を取得。業務提携を結んだ。

 そして、2001年にグッチ・グループがバレンシアガ社を買収。かつては「50〜60歳代のリッチなマダム御用達」というイメージが定着していたが、以後、「バレンシアガ」ブランドの再生プロジェクトが本格化していく。バレンシアガ社の日本法人はまだないようだ。

[歴史]
 創業者であるクリストバル・バレンシアガ(Cristobal Balenciaga)氏は1895年、スペインのバスク地方の港町、ゲタリアに生まれた。幼くして縫製の技術を身に着け、1915年、20歳でスペインに店を開く。若くして人気を得るが、36年にスペイン内乱が起き、パリに移住した。

 37年、パリのジョルジュ・サンク通りに店をオープン。立体的な裁断に冴えを見せ、第2次世界大戦後のパリファッション界で「クリスチャン・ディオール」と並び称されるビッグメゾンとなった。コルセットや詰め物なしでも、美しいボディラインを演出するドレスが戦後、行動的になった女性たちに評価された。ディオール氏はバレンシアガ氏のことを「われわれ全員の師」と呼んで讃えた。

 しかし、プレタポルテの台頭に押される中、68年に突然、オートクチュールから撤退。「プレタに乗り出すには、あまりにもクチュールを知りすぎた」という有名な言葉を残してデザイナーから引退した。その4年後の72年に死去。極端なマスコミ嫌いで、謎に包まれた生涯だった。「私の服を着るのに、完ぺきさも美しさも必要ない。私の服が、着る人を完ぺきにも美しくもする」という自信に満ちあふれた言葉は彼のファッション哲学と性格を物語る。

 彼のメゾンからはユーベル・ド・ジバンシィ氏、エマニュエル・ウンガロ氏、アンドレ・クレージュ氏ら名だたるデザイナーが輩出している。三宅一生氏はバレンシアガで働こうとしたが、68年にメゾンが閉じてしまったため、メゾンの一部を引き継いだジバンシィ氏の下でアシスタントデザイナーを務めた。

 92年からはジョセフュス・メルキオール・ティミスター氏が主任デザイナーに就任。ティミスター氏との契約が切れる際には、後任デザイナー選びが注目を浴びたが、社内から98年にフランス人デザイナー、ニコラ・ゲスキエール氏を起用し、成功した。

[現在のデザイナー]
ニコラ・ゲスキエール氏


[キーワード]
エレガンス、カッティング、大御所ブランド


[魅力、特徴]
 立体的なカッティングが素敵。モードのエッジを体感できます。ただし、ウエストラインはタイトですから、サイズにはご注意。しっかり試着しましょう。

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